ザッポス伝説 [著]トニー・シェイ

■社員が元気になれる企業とは

 先日、あるフォーラムに参加した。社員が元気になれる仕事の仕方を語る場で何度も聞かれたのが、「ザッポス」の社名だった。

 「世界に幸せを届ける会社」であるためには社員が幸せでなければならない。アメリカで靴のネット通販を始めて10年。熱狂的支持を得て売上高10億ドルへと急成長したザッポスは、社員と顧客の理想的な関係の代名詞的存在になりつつある。現在37歳の経営者がつづった「幸せを見つける方法を発見するまで」の旅路の記録だ。

 20代で起業。売却して富を得るが、生きがいを求め、投資対象だったザッポスへ、自らも投じた。経営難が続くなかで、世界最高の顧客サービスの提供を決意する。

 顧客に「ワオ!」という驚きの体験を届けよう。コールセンターのオペレーターは顧客の求める商品が自社になければ他社サイトで探し紹介する。ピザ宅配店を聞かれれば調べて答える。判断の権限が与えられているのは、社員が仕事で自己実現し、幸せを追求する企業文化を最優先するからだ。

 ファミリー精神もうたう。社員が社外でも付き合うなかで斬新なアイデアが生まれる。社員の家族の葬儀で賄いも引き受ける。短期志向の株主に対抗し、顧客志向で一致するアマゾンに全株を委ねたのも企業文化を守るためだった。その経営に親しみを感じるとすれば、私たちが取り戻すべき姿も見えてくる。

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 本荘修二訳
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